2023年も終わりなので、今年勉強したことを振り返ってみる。
学術関連
数学
群論
復習したい計画は結局途中で飽きてしまったので、中断して群の作用のことを少しやった。まだ群論で触れられていないことは山ほどありそうなのだけれど、もうちょっと別のこともしてみた方がいい気がする。
多様体
軽く定義は確認して、イメージはわかったかもしれない、と思ったのだけれど、きっちり教科書を追うのはやはり難しかった。積位相が出てきたときに、きちんと扱う準備がまだできていないかもしれない(位相空間に限らず、積対象(でよかった?)全般になじみがないので、このあたりは要基礎固めポイントになりそう)。
今後
線形代数と微分積分をやった後の次のステップが難しすぎる、と痛感する…。なにかきっかけがあればつかめそうな気もするけれど。
生成AIがすごすぎてもはやあれかもしれないけれど、数学もある程度きちんとする系(理論は適当にざっくりPythonで実装して終わりという感じのやつではない、という意味)の機械学習の勉強はしてみたかったりする。
物理学
熱力学
以前から積んでいた田崎晴明さんの本に手を出し始めた。熱力学は大学時代に講義に潜って勉強したことがあると言えばあるのだけれど、工学部(確か建築学科)向けの授業でわりと緩かった(進度が遅れて結局エントロピーの導入ぐらいまでしか行かなかった)のもあったし、そろそろそれもかなり忘れているので、そのときよりは厳密な理解に至りたいという気持ちが芽生えてきたのもあった。以前よりも厳密な理解をするのに加えて、「完全な熱力学関数」という概念を理解することが今回のゴールかなと思っている。その次は統計力学?
今後
Susskind先生の一般相対論本は結局手を出せなかったけれど、時間を見つけて読みたい。後は統計力学の初歩と、量子力学の復習(と前やれなかったこと)あたりをやれば、物理の基礎っぽいところにはざっくり目を通した状態になるはず。そうなったら、もうちょっと発展的なところ(場の量子論とか、固体物理とか)にも挑めるかも…と、興味があることは多いけれど、現状私の中で、そもそも全体的に物理をやる優先度が低いかもしれない…。いつまでに何をやりたいか(あるいは逆に、いつまでであれば放置でも妥協できるか)、他のことと相談して調整した方がいいやつ。
論理学・計算機科学
オートマトン
オートマトンの定義をさらっと見たぐらい。「チューリング機械」の概念を理解することがひとまず今回のゴールかなと思っているけれど、だいぶ止まっている…。
今後
プログラミングとの関連を言えば、型まわりのこととか、プログラム意味論とかを訪ねてみるのが一番よい気がしている。次点で圏論とか、ラムダ計算とか(私の中ではこのへんは型の話とだいたい一緒では?という気持ちもあるけれど)。
あとはモデル理論の本に前から興味があるのだけれど、前提知識がほぼない状態で挑んでよいのかわからず、とりあえず学生時代に入手したそのへんへの入門になりそうな本をまず眺めてみる方が先かもしれない…と思っている。
哲学・科学哲学
物理学の哲学
A Very Short Introductionを途中まで(量子力学の章の手前まで)読んでいたのだけれど、なんかあまり私が期待していたものではない感じなので止まっている…。
「数式が出てこない本はだめ」みたいなことを言うつもりはない(むしろ数式だけあれば十分と思っている人の方が嫌いかもしれない)のだけれど、極端に数式が少ないとなかなか深い、裏付けとかディティールがきちんとある話にならない(し、物理学者の人にもきちんと話が伝わらないだろうと思われる)ので、よい哲学をするための土台としては準備不足感が出てしまうのだと思う。ドメイン知識がないとよい哲学はできない(その状態の下手な物理学の哲学より、物理学の方が面白いまである)、というのが最近ずっと思っていることで、そういう気持ちも踏まえると、物理学そのものの勉強を進める方が現状の私にとってはよいのかもしれない…
新書
新書で今まで縁がなかった哲学者に入門してみようと少し読んでみたけれど、思ったほどはまらなかった。
今後
ときどきチェックしてPDFを入手しているCambridge Elementsシリーズがけっこうな量になってきたので、少しずつ手をつけていきたい(かなり難しめのやつもある印象なので、今すぐ全部読むのは無理な気がするけれど)。
あと、いわゆる分析哲学の王道のところに、大学時代きちんと向き合えていなかったなあ…という反省があって、フレーゲ、ラッセル、カルナップ、クワインらの哲学を丹念に追い直してみたいという気持ちになってきている。(欲を言えば、デイヴィドソン、ダメット、デイヴィド・ルイスとかもそうかもしれない。)
業務関連
プログラミング・IT技術
TypeScript
その都度ドキュメントを見たらざっとは書けるだろうという気持ちになったので、その先にある面白そうなところはあまり勉強できていない。
Haskell
本と開発環境は準備したけれど、まだ手をつけ始めたぐらいのところ。
今後
年始時点ではUnityもやりたいと思っていたけれど、私の生活の中でゲームの優先順位が低すぎるのでしばらくはいいかなと思っている。あと、ゲームを作り始めると具体的な実装とか世界観よりメカニクスを考える癖があり、それにとても時間をとられるのが微妙に嫌かもしれない。
Haskellはもう少しきちんとやりたいけれど、正直に言うと、プログラミング言語そのもの(文法、言語仕様、それを使う利点、デメリットとか)には私はそこまで関心を持っていない気がしてきたので、いたずらにたくさん高級な言語を学ぶフェーズではなくなってきているのだと思う。といいつつ、可読性の高いコードの書き方とか、いけてる設計、開発手法とか、なんかそういうやつもちょっと食傷ぎみなので、次のステップとしては、低レイヤとか、型まわりの概念的なところとかを訪ねてみるのが一番面白そうかもと思っている。
資格
基本情報技術者試験
5月末ごろに受験した。以前にITパスポートの勉強をしたことがあるのだけれど(なおITパスポートは未受験)、問題の感じがだいたいそのままで拍子抜けしつつ、さらっと試験勉強をして臨んだらあっさり合格してしまった。試験勉強としてはほとんどが過去問を解く時間で、参考書はいちおう買ったけれど、気になった箇所を見直す程度でほぼ使わなかった。
応用情報技術者試験
10月に受験した。応用情報も半分ぐらい基本情報と問題一緒では?と思いながら試験勉強をしていたけれど、分野によってはけっこう細かい知識が必要なところもあるという印象だった。午後試験の対策が完全に不十分なまま臨んだけれどこちらも合格した。さすがにエンジニアの入り口には立てたと思うので嬉しい。
今後
IPA関連だと次はネットワークスペシャリストか、データベーススペシャリストとかかなあ、と思いつつ、知っている人で取っている人がほぼおらず、取ったらどう役に立つのかが見えていないので、どうしようかなと思う。あと来年春は時期的にちょっと準備できなさそう。趣向を変えるなら、テスト系(JSTQB)とか、あとプロジェクトマネージャはつまらなさそうなのでスルーしていたのだけれど、プロマネ系とか。
その他
勉強方法
大学時代から、ずっと「本単位でなにか分野を勉強する」というスタイルで続けてきたのだけれど、社会人になって自由時間がただでさえ少なくなったうえに、勉強以外にもいろいろやりたいことが重なってくると、このスタイルを維持して常識的な期間内(少なくとも、私が飽きない間)に本を読み終えるのはかなり無理があるらしい、ということに気づいた。
それで、今年の半ばから趣向を変えて、「トピック単位で勉強する」というスタイルを試していて、具体的には
- なにかトピックを決める。自分で決められるなら自分で決めてもよいし、読みたい本の1セクションでもよい。
- ただし、トピックの規模はだいたい1~2週間で終われそうな分量にする。
- そのトピックについてノートをとりながら進める。
- 順序は本に必ずしも従わなくてよい。自分が納得する順序で。
- 面倒そうなところは飛ばしてもよい。
- トピック一つ分では終われないときは、いくつかの連続したトピックにする。
という感じなのだけれど、今の生活にはこちらの方がいいのかもしれない、という感触を得ている。本をじっくり読めるのが大学生の特権というのは本当にその通りだったなあと日々思うけれど、それはそれとして。
それとは別に、定期的に勉強する習慣をつける、あと、きちんと正しい理解に至れているか確認する、という意味でも、オンライン家庭教師とかを検討するのもいいかもしれない。
まとめ
本をまとまった分量読めていないという点ではそこそこ挫折感があり、去年に比べてだめだめだったなあという感じなのだけれど、
- これまでノータッチだった資格勉強をがんばった
- 勉強スタイルを転換してみた
とかの新しい挑戦ができていた点はよかったのでは、と思う。
2024年目標は別記事にする予定。